後継者不足の開業医と開業したい勤務医の双方にメリットがある事業承継。この記事では歯科医院の事業承継のメリットや注意点を解説します。事業承継を失敗しないために参考にしてください。
歯科医院の事業承継とは
歯科医院を始めとする病院の事業承継とは、既に開院している病院を引き継いで運営することです。事業承継を行うケースは3つに分けられます。
- 親族内承継：子供や親戚など血縁関係がある人
- 親族外承継：親戚以外の勤務医や知り合い
- 第三者承継：M&Aの仲介会社など
今までは1の親族内承継が多かったですが、最近は院長の高齢化や後継者不足によって2や3のパターンも増えています。病院を閉院してしまうよりは、地域医療の維持やスタッフの雇用を守るために、事業承継を選択する医師が多いと言えるでしょう。
歯科医院の事業承継のメリット
歯科医院を事業承継することによって得られるメリットを3つ紹介します。新規開業するよりもコストも時間も少なくすることができるため、これから開業したい方におすすめの方法です。
新規開業よりも低コスト
歯科医院を新規開業するためには、ユニットやレントゲンなどの設備を購入し設置する必要があります。事業承継を行えば、既にある設備をそのまま使用することができるため、初期費用を抑えることができます。また、設備を導入するための費用だけでなく開業までの期間も短縮でき、すぐに開業したい医師にとって良い条件です。
患者様やカルテを引き継げる
新規開業するとなると、新しく患者様を集めるまでに時間や広告費用がかかります。一方で、事業承継の場合は元の病院から患者様やカルテを引き継ぐことができます。同じ場所にある病院であれば、患者様も通い続けてくれる可能性が高く、最初から一定の収入が見込めます。
金融機関から融資を受けやすい
事業承継の場合は、元々の建物や設備など資産価値がある状態からスタートするため、元手があるということで銀行から融資を受けやすくなります。事業承継する際にも譲渡代・仲介手数料・内装費・弁護士費用など少なからずお金がかかります。必要経費をまかなえるように、融資を受ける必要があるでしょう。
歯科医院の事業承継を失敗しないための注意点
一方で、歯科医院の事業承継を行う時の注意点もあります。事業承継を失敗しないための2つのポイントを解説します。
施設や機械の老朽化
事業承継をする際に、歯科医院の施設や機械が既に老朽化していることもあります。そのまま使用すると初期費用を抑えることはできますが、後から故障で交換するよりはリニューアルのタイミングで改装しておくこともおすすめです。内装や外装を整えたり、最新の設備を導入したりすると、患者様にも病院が新しくなったと実感してもらいやすいでしょう。
前医院の問題点を洗い出す
事業承継は前の医院の経営状況や方針を一度見直すよい機会です。特に歯科衛生士や事務の方をそのまま承継後も再雇用する場合は、問題のある古いやり方は変更すると働きやすく感じてもらえるでしょう。ただし、「前のほうがよかった」と患者様に思われないよう、前の経営者の評価できる点は残しておくことも必要です。
歯科医院の事業承継をうまく活用しよう
事業承継は医師の高齢化や後継者不足を解決する方法の1つです。開業したい医師にとってもコストや手間を省きつつ、前の病院の患者様やカルテを引き継げるというメリットがあります。歯科医院の継続についてお悩みの場合は、一度事業承継という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。