昨今、クリニック側に届く情報といえば「先行きが不透明」「事業承継も検討すべき」など、クリニック存続の内容です。確かに、クリニック経営者の年齢層が高くなり、後継者問題を解決するのは急務です。
今回は、注目されるクリニックのM&Aに関して解説します。M&Aから受けるメリットは多く存在し、ネット上にも多くの情報が出ています。ですが、良い点だけでなく「注意点」から掘り下げることによって、リスクを回避しスムーズなクリニックのM&Aに繋がります。
クリニックが抱える問題…M&Aは果たして必要なのか
クリニックが抱える問題は多岐に渡ります。現在抱えている悩みや問題点から、本当にM&Aを検討すべきなのか掘り下げて考えましょう。
クリニックの事業継続に関する悩み
クリニックのM&Aに関する訴求が業界において進んでいますが、事業継続に関してなぜ悩みが生まれてくるのか…。
まず、クリニックに限らず医療機関全般を取り巻く状況が悪化しています。現在、診療所や病院、歯科医院などを含めても2021年度の情報では休廃業・解散が567件に登りました。これは過去最高水準と言われています。
- 収益減ー医療制度改革による診療報酬引き下げ
- 収益減ーその他
地方の過疎化、人口減少が進み収益が減少しているクリニックも多く、経営悪化が続き、存続が難しいケースは多いようです。
- 院長自身の高齢化
- 経営継続が難しいため転職
- 後継者不在
- 設備の老朽化
- その他資金調達/人材確保が難しい
などの悩みが挙げられます。
参考:帝国データバンク 医療機関の休廃業・解散、過去最多を記録
M&Aは必要か?タイミングを大切にしよう
クリニックのM&Aが必要である、メリットが大きいと判断するにおいて承継を考えるにはタイミングも重要です。
タイミングとは2つのパターンに展開できます。
- 自分自身の余裕度
- クリニックの経営状態
①に関しては自分自身の体力やクリニックのM&Aに対してどれだけ時間を割けるか、などの余裕度です。家族との兼ね合いも考えながら判断しましょう。
②は、クリニックの経営が傾き逼迫している中では、良いM&Aによる事業承継には繋がらないということです。
上記のタイミングを頭に入れておきましょう。
失敗事例もある?注意すべき相談場所の選定について
クリニックのM&Aにはメリットしかない!とも思えるような情報を目にしますが、失敗事例も存在することを理解しておきましょう。その中で注意すべき点はどこでしょうか?
クリニックのM&Aは一筋縄ではいかない
医院を承継するということは、事前に調査も入りますし、次の経営者にさまざまなものを引き継ぐ必要があります。そのため、統合などのM&Aでは時間がかかるケースもありますし、医院承継がスムーズに進まないこともあります。
スタッフやカルテも引き継ぐことになりますので、事前の準備は必須になります。
相談場所は多方に存在するが…
このようなクリニックのM&Aをどこに相談すべきか…。検討段階に入れば検討すべき必要事項になります。
地元の金融機関や公的機関に相 談を持ちかけるケースや、これまで関わってきた弁護士や税理士など…という方法をとる方もいます。ですが、スムーズに買い手が見つからないケースがほとんどです。したがって、専門的にクリニックや病院のM&Aを行っているマッチングサイトやM&Aの仲介会社などを利用することが最短でしょう。
秘密保持を徹底できる場所から
加えて、クリニックのM&Aで必要なのは「秘密保持の徹底」です。最終的な契約合意に至るまでのプロセスで、情報が漏れてしまえばさまざまなリスクも生まれるでしょう。
例えば、スタッフの退職や患者様離れ、情報が漏れやすいという印象を他社に持たれれば契約破棄やその後のM&Aにおいても問題をきたす可能性も…。きちんと相談相手を見極める目も必要です。
まとめ
今回はクリニックを運営する方に向けて、クリニックのM&Aに関する基本情報をまとめました。簡単に決めるべきことではありませんが、昨今クリニックを含め医療機関が抱える問題は多岐に渡ります。それらを解決し、また別の生き方を模索するための1つのプロセスであることには間違いありません。
もちろん売り手だけでなく、買い手にとってもメリットは大きいです。せっかくクリニックをM&Aによる事業承継を検討するのであれば、柔軟に賢く進めていきましょう。