歯科医院経営者の中には、後継ぎがいない問題に直面している方が多くいるかもしれません。
実は歯科医院の後継ぎがいないといった悩みは、あなただけが抱えている問題ではありません。昨今、半数以上の歯科医院が後継ぎがいないと言われており、多くの経営者が頭を悩ませているのが現状です。
今回は、承継か廃業かを迫られる歯科医院の経営者の方に向けて、歯科医院存続に関する3つの判断基準を解説します。
一つの解決策として、M&Aについてもご紹介します。ぜひご自身の歯科医院の後継ぎがいない問題の参考にしてください。
歯科医院は承継すべき?それとも廃業?判断基準と解決策とは
歯科医院を承継するのか、それとも廃業するのか、判断すべきポイントは3つあります。
また、歯科医院の存続は経営者のあなた以外にも、従業員や地域の患者様にも関わることです。経営判断を誤ることのないよう、それぞれポイントを抑えて、総合的に判断しましょう。
承継か廃業か?判断すべき基準は3つ!
- 営業利益について…営業利益=売上高ー(売上原価+販売管理費)。歯科医院の事業価値を考えた場合、黒字経営であることは重要なポイントです。仮に、現状赤字経営の場合でも、黒字化する見込みがない限り、事業継続は難しいと考えておきましょう。
- 資金繰り…当面の資金繰りは確保できますか?私的整理や民事再生の手続きをとる場合、金融機関への返済を棚上げすることがあります。返済猶予を申請すると、新規の借入が困難になることも…。
- 金融機関との関係…金融機関との関係は良好ですか?金融機関への返済が滞って いる場合、私的整理による再建が困難になり、民事再生の再建への難易度が上がります。
金融機関から積極的な協力が得られることで、健全な事業継続に繋がります。金融機関との厚い信頼関係は、事業継続の追い風になってくれます。
歯科医院の後継ぎがいない問題…M&Aが1つの解決策に
判断基準を3つご紹介しました。上記を参考に、承継か廃業かを総合的に判断してください。次に「事業継続を決めたけれど、歯科医院の後継ぎがいない…」という経営者の方に向けて、一つの解決策であるM&Aをご紹介します。
M&Aの売り手のメリットデメリット
【メリット】
①譲渡益の獲得
経営者にとって、M&Aの最大のメリットは歯科医院を残すことで譲渡対価を得られることです。また、廃業する場合もコストがかかります。M&Aで売却することで、廃業コストを負担しなくてよいことも大きいメリットと言えますね。
②地域医療を守る
M&Aは通院する患者様にとってもメリットがあります。廃業する場合、地域の患者様にとっては通い慣れた通院先を失うことになります。M&Aにより信頼できる医師から治療が引き継がれれば、安心して通院することができます。
③労働者の雇用を守る
廃業する場合、スタッフは職を失うことになります。M&A売却後、雇用契約が引き継がれれば、スタッフは慣れ親しんだ職場を失うことなく、引き続き患者様対応ができます。
【デメリット】
- 引き継ぎが難しい
M&Aでどれだけしっかりと引き継ぎが行われても、経営者が変われば以前の経営者と方針が変わることがあります。M&Aの買い手は、前経営者と信頼関係を築いてきたスタッフや患者様との関係性を理解した上で、新たな信頼関係を構築する努力が必要です。
② 手続きが複雑
M&A売却を決めた場合でも、すぐに理想の買い手が見つかるとは限りません。特に、歯科医院のM&Aは、通常のM&Aとは異なり、専門知識が求められます。
税金や法的手続きを抑えておくことは勿論、情報探しも重要であるため個人レベルで行うことはかなり難易度が高いでしょう。
M&A成功のための3つのポイント
メリットだけではない、デメリットもあるM&Aですが、失敗しないためには3つのポイントを抑えておくことが大切です。次の3つが成功の秘訣です。
- 資産を整理する
- 黒字経営にする
- ベストなM&A仲介業者に依頼する
M&Aを成功させるためには、理想の買い手を見つけることが重要です。
そのためには、事業に不要な資産を整理して適切な譲渡価格を設定すること、未払金や借入金がない黒字経営の状態にすることがポイントです。
そして、最大のポイントはベストなM&A仲介業者に依頼することです。手続きが複雑で、税や法的手続き以外に、医療に関する知識まで備えた実績のある業者を選ぶことが必須とも言えます。
あなたに合った、歯科医院に特化した仲介業者を見つけてください。
まとめ
院長の高齢化や歯科医院のご家族の事情によって、歯科医院の後継ぎがいないといった悩みを抱える経営者も多いかと思います。
歯科医院が廃業になってしまうと、働くスタッフや地域の患者様にとっても大きな痛手になりかねません。歯科医院の後継ぎがいないから…といった事情で、廃業せざるを得ないと安易に判断することは、経営者以外の人を不幸にしてしまう可能性があります。
廃業以外選択肢はないと諦めてしまう前に、承継を視野に入れた上で、M&Aを事業継続の一助として検討してみてください。