承継・開業サポート事例

クリニックや薬局開業時における資金調達(融資)について

独立開業を考える医療従事者にとって、クリニックや薬局の開業は夢の実現に向けた重要なステップですが、その実現には多額の資金が必要となります。
新たな事業の立ち上げには、事業計画の作成や融資を受ける金額の決定が欠かせません。

本記事では、クリニックや薬局の開業における資金調達の手段と、開業資金を抑えた効率的な方法について詳しく解説します。

独立開業には多額の資金が必要

クリニックや薬局の独立開業には、建物の購入や改装、医療機器の導入、人件費、広告宣伝など多岐にわたる費用がかかります。
特に診療科目や提供するサービスによっては、開業資金の額が大幅に増えることもあります。

これらの費用を賄うために、融資を活用するケースが一般的です。

 

事業計画の作成

事業計画は、融資を受ける上で非常に重要な要素です。

クリニックや薬局の開業計画を詳細にまとめ、将来の収益性やキャッシュフローの予測を含めた事業計画を作成することで、金融機関からの信頼を得やすくなります。

事業計画には、開業の目的、目標、市場分析、競合分析、販促戦略、経営陣やスタッフの紹介などを含めて作成するべきです。

 

融資を受けたい金額の決定

事業計画を作成したうえで、具体的な開業資金の額を決定する必要があります。

開業資金には初期投資費用や運営資金が含まれます。

 

初期投資費用は、設備導入や改装にかかる費用、開業準備期間の生活費などが含まれます。

運営資金には、日々の経費や人件費、患者数に応じた収益性を維持するための資金も含まれます。

 

クリニックや薬局開業時の利用可能な融資

クリニックや薬局開業時の融資には、いくつかの主な手段があります。

 

手段1:日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫は、中小企業の創業支援を行っている公的機関です。

医療従事者も対象になる創業融資は、金利が比較的低めで返済条件も柔軟です。

 

ただし、創業融資の利用には事業計画の充実や信頼性の確保が求められます。

 

手段2:独立行政法人福祉医療機構の医療貸付

福祉医療機構は、医療機関の運営や設備の整備を支援するための貸付を行っています。

医療貸付は、返済条件が柔軟であり、開業資金の一部を補填することができる場合があります。

 

手段3:金融機関からの銀行融資

民間の金融機関からの銀行融資も一般的な資金調達手段です。

個別の金融機関によって条件や金利が異なるため、複数の銀行や信用金庫と相談し、最適な融資条件を見つけることが重要です。

 

また、民間融資は融資判断が厳格であるため、十分な事業計画と信頼性が求められます。

 

開業資金を抑えた効率的なクリニック・薬局の開業方法

クリニックや薬局の開業は、高額の資金が必要なため、開業資金を抑えることが重要です。以下に、効率的な開業方法を紹介します。

 

リース・レンタルを活用する

高額な医療機器や設備を一括で購入する代わりに、リースやレンタルといった方法を活用することで、初期投資を抑えることができます。

 

中古医療機器の導入

新品の医療機器は高額なため、中古の医療機器を導入することでコストを削減できます。

ただし、中古機器の状態をきちんと確認し、信頼性のある提供業者から購入することが重要です。

 

小規模からスタートする

最初は小規模からスタートし、事業が安定してきたら徐々に拡大していく方法も効果的です。

小さなスケールでの運営は、初期投資を抑えるだけでなく、リスクを低減しやすい利点もあります。

 

パートナーシップの検討

開業を単独で行うのではなく、他の医療従事者とのパートナーシップを組むことで、開業資金を分担することができます。

ただし、パートナーシップを組む場合は、経営方針や意思決定などについて合意を形成することが大切です。

 

政府助成金の活用

地域や業種によっては、政府が提供する助成金や補助金を活用することで、開業資金の一部を補填することが可能です。助成金の条件を確認し、適切な申請手続きを行うことが必要です。

 

マーケット調査の実施:

開業する診療科目やサービスの需要と市場動向を把握するために、マーケット調査を実施することが重要です。

需要の高い分野に特化し、効率的な運営を目指すことで、開業資金の使い道を最適化できます。

 

イノベーションの導入

新しいテクノロジーやシステムの導入により、効率的な運営やコスト削減が可能となります。例えば、電子カルテの導入やオンライン予約システムの利用などが挙げられます。

 

事業承継の実施

クリニックや薬局を事業承継することで、開業に必要な資金を抑えることができます。

事業承継は、現在経営しているクリニックや薬局の経営者が後継者に経営権を引き継ぐ形態です。

事業承継を行う際には以下のポイントに留意することが重要です。

 

  1. 相続人や後継者の確認:

経営者が事業を承継する場合は、後継者としての能力や意欲を確認する必要があります。

経営者の意向を事前に確認し、スムーズな承継プロセスを進めることが大切です。

 

  1. 評価と価格の決定:

事業承継においては、クリニックや薬局の評価と適切な価格の設定が重要です。

過去の経営実績や将来の展望を考慮し、公正な価格を定めることが承継の成功に不可欠です。

 

  1. 法的手続きの遵守:

事業承継には法的な手続きが必要となります。

株式譲渡や会社の法的な移転、契約の更新など、事業承継に関連する法的なルールを遵守することが重要です。

 

  1. スタッフとのコミュニケーション:

事業承継による変化は、従業員にとっても大きな影響を与える可能性があります。

事前にスタッフとのコミュニケーションを図り、安定した運営環境を提供することが重要です。

 

  1. 経営方針の継承と改善:

事業承継後は、経営方針の継承と改善が必要となります。

既存の良い点を継承しつつ、新しい経営戦略を導入することで事業の発展を図ることができます。

 

事業承継を通じて、クリニックや薬局の開業資金を抑えることができるだけでなく、既存の患者やスタッフとの信頼関係を継承し、安定した運営を実現することが可能です。

事業承継には専門的なアドバイスを受けることが重要ですが、成功すればクリニックや薬局の継続的な成長につながるでしょう。

 

まとめ

クリニックや薬局の開業には多額の資金が必要ですが、事業計画の作成と適切な融資手段を活用することで資金調達が可能となります。

また、開業資金を抑えるためにリース・レンタルや中古医療機器の導入、事業承継、小規模からスタートするなどの方法を検討し、効率的な開業を目指すことが重要です。

適切な資金調達とリソースの活用により、クリニックや薬局の開業を成功に導くことができるでしょう。

 

院継では、クリニックや医療法人の事業承継のサポートも行っております。

引き継ぎ開始から永続的な発展に寄与することまでを念頭に事業承継に携わっています。

まずは一度お気軽にお問い合わせください。

 


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