病院やクリニックの事業承継は、特に親族間での引き継ぎが多い分野の一つです。この記事では、病院やクリニックを親族で事業承継する際の動向、方法、メリット、そして気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。
病院・クリニックの親族間の事業承継の動向
病院やクリニックの事業承継は、日本において医療機関の多くが家族経営であることから実際に事業承継が行われることが多いです。特に高齢化が進み、経営者の引退や後継者不足が問題となる中、親族による事業承継が一つの解決策として考えられています。
病院・クリニックを親族間で事業承継する方法
親族間での事業承継は、親子間で行われることが多く、その場合生前の事業承継と相続による事業承継の2種類の方法があります。
1. 生前の事業承継
経営者が健康である間に、生前に事業承継を進める方法です。これには後継者に経営を任せる段階的な移行や、会社法上の手続きが含まれます。
事業承継では、売却や貸付などでなく、贈与で行われることが多いです。
また患者やスタッフなど関係者との関係性を徐々に深めていくことが可能となり、スムーズに事業承継が行えることが多いです。
2. 相続による事業承継
経営者が亡くなった場合、法定相続人により事業が相続される形態です。これには遺言書の作成や相続税の問題が関わります。
相続された場合、遺留分制度により他の法定相続人に代償交付金を支払う必要があり、代償交付金を支払えるだけの現金を用意できない場合があります。
そのような状況を防ぐためにも、死亡保険を活用するなど事業を引き継ぐにあたって子供に対し現金を用意しておく必要があります。
病院・クリニックの親子間事業承継のメリット
1. 初期費用の軽減
親から子への事業承継では、新たに開業する場合に比べて初期費用を軽減できます。既存の患者層や信頼関係を引き継ぐことで、立ち上げ期の苦労を軽減できます。
2. 信頼感の引き継ぎ
親が築いた信頼感や患者との関係性が、事業承継により引き継がれることがあります。これは患者の安心感に繋がり、クリニックの継続的な成功に寄与します。
3. 後継者育成の期間を担保できる
親がまだ経営を担当している間に、後継者がゆっくりと経営のノウハウやスキルを学ぶことができます。これは事業の安定的な移行を可能にします。
病院・クリニックの親子間事業承継のデメリット
1. 親子間の意見の相違
親と子で経営理念や方針に違いがある場合、対立が生じる可能性があります。これは円滑な事業承継を妨げる要因となります。
2. 場所が限定的になる
親が営んでいたクリニックの場所や規模を変更することが難しく、経営の拡大が難しい場合があります。
3. 設備や機器の老朽化
親から子への事業承継の際、設備や機器の老朽化が課題となることがあります。これに対処するための投資が追加で必要です。
まとめ
病院やクリニックの親族間での事業承継は、多くのメリットがある一方で様々なデメリットも伴います。初期費用の軽減や信頼感の引き継ぎなど、成功に繋がる点も多いですが、親子間での意見の相違や場所の制約、設備の老朽化などに注意が必要です。事業承継計画を練り、円滑な移行を図ることが、クリニックの持続的な成功につながります。
そのためにもフラットな立場で、事業承継を行うプロに相談することも大切です。
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